【ファミコン】スーパーマリオブラザーズじゃないよお父さん

wrecking-crew ファミコン

©任天堂 出典元:Google画像検索

タイトルレッキングクルー
ハードウェアファミリーコンピュータ
メーカー任天堂
価格5,500円
発売日1985年6月18日
ジャンルアクションパズル

クリスマスプレゼントを買ってもらう為の「プレゼン」

タイトルだけ見て「スーパーマリオブラザーズ」じゃなく、この「レッキングクルー」のことだと思ったキミ!なかなか鋭い。数あるファミコンソフトの中でも、この「レッキングクルー」ほど、僕にとって印象深いものはないだろう。

 

それほど裕福ではなかった我が家の家訓として、「うちは仏教や!」という(当時の僕らにとっては)謎の論理でクリスマスプレゼントを何度もはぐらかされた苦い思い出を持っていた僕だったが、この年のクリスマスに向けては、かなり気合いが入っていた。

 

それはもう、言われなくても家のお手伝いはするわ、半ドンの土曜日には明日は休みなのにさっさと布団に入るわ・・・とにかく、僕は「良い子」を演出することに全力を注いだ。まるでそれがクリスマスプレゼントを買ってもらう為の「プレゼン」のように。

 

ちなみに、この歳でさすがにサンタクロースの正体などは既に看破しており、枕元にサンタクロースがプレゼントが置くことは無いと思っていた「ひねた」ガキだったので、プレゼントは仕事で外出している父親が買って来てくれるものと認識していた。(その割には「志村と加トちゃんは飲み友達だよ」という父のウソにコロッと騙されていたのだが・・・)

 

各家庭の教育方針にはバラつきがあったので、同じクラスの同級生の中にはサンタクロースの存在を信じている子もいた。子供心に「これは黙っておくのが得策だな」と敏感に感じ取った僕は、同級生が信じてやまないサンタクロースの存在を全否定するようなことはしなかった。

 

これを読んでくれているお友達の中には、ついうっかり話してしまったことで、仲が良かった友だちとケンカしてしまった、そんな辛い経験をしたお友達もいるのではないかな?「口は災いのもと」ということわざを身をもって体験できたので、ある意味良かったんじゃないかな。

 

日本中のおもちゃ屋さんのショーケースから消えて行った

さて、話が逸れてしまったが、僕がこれだけ良い子を演出してまで待ち焦がれていたプレゼント、それが当時の少年少女が夢中になっていた「スーパーマリオブラザーズ」である。説明不要の、ファミコン界の怪物でありギネスであり、伝説のソフトである

 

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ファミコンを「ピコピコ」と表現する当時の大人ですら、「スーパーマリオブラザーズ」には一目置いていた。社会現象を巻き起こし、ファミコンが他のハードウェア(本体)との勝負に終止符を打った作品である。

 

とにかく、買えなかったのだ。どこにも売っていなかった。まだ「ドラゴンクエスト」の社会現象が起きる前だったので、それほど大きなものではなかったのだが、インターネットもない時代に世の少年少女の口コミによって、加速度的に面白さが伝播していって日本中のおもちゃ屋さんのショーケースから消えて行った。

 

幸福感に浸っていた僕をどん底に突き落とすような色

「それでも、お父さんなら何とかしてくれる」そう信じていた僕は、父が見事に「スーパーマリオブラザーズ」を引っ提げて帰宅して来るのを、一日千秋の思いでずっと待ち続けた。父の車が停車するのを確認した僕は玄関に飛んでいった。

 

「はい、お土産。」と手渡されたリボンのかかった包装紙に包まれた箱を受け取った僕は、天にも昇る思いで、あらかじめファミコンを繋げておいたブラウン管のテレビに向かって、まさにBダッシュしたのだった。

 

高鳴る鼓動・震える手で包装紙を解いていく。「ああ・・・やっと家で思う存分スーマリができる!」と幸福感に浸っていた僕を、どん底に突き落とすような色が見えたのだ。違う、これじゃない!!なんじゃこの色はああああああ!!

 

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©任天堂 出典元:Google画像検索

 

 

「お父さーーーーーん、これスーマリじゃないよおおおおおお!」

 

悲鳴にも怒号にも似た僕の声が、ブラウン管のテレビのある部屋に鳴り響いた。何事かと飛んで来た父親に、欲しかったものはこれでないことを身振り手振りを交えて懸命にアピールした。一瞬、気まずそうな顔をした父であったが、あまりにも執拗に詰め寄る僕に、表情を一変させて叱りつけた。今の時代でいうところの「逆ギレ」というやつかな。スネてしまった僕は、早々に布団に潜り込んでしまって寝てしまった。

 

「ヒゲのオヤジがパッケージに描かれているゲーム」

あの頃の父と同じくらいの年齢になってわかるのだが、確かに正確な情報を伝えなかった僕が悪かったように思う。あの時は悪いことをしたなあと、しみじみと思う。僕は確かに「スーパーマリオブラザーズ」とタイトルを伝えたように思うが、父にとっては「ヒゲのオヤジがパッケージに描かれているゲーム」としか覚えていなかったんだろう。

 

レッキングクルーもマリオが懸命にブロックを壊してるイラストが描かれているけど、ハンマーで壊してるから。「スーパーマリオブラザーズ」はキノコを持ってるんだよ。お父さん・・・。

 

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ゲームソフトを頻繁に買ってもらえなかった当時の僕らは、買ってもらったソフトを遊ばないと次のソフトを買ってもらえない。本当は「スーパーマリオブラザーズ」がやりたかったのだが、父が間違えて買って来てくれた「レッキングクルー」を遊ぶことにした。

 

これがね、面白かったんだよ!ゴールデンハンマーを手に入れて、高橋名人ばりの連射をすると空中を歩けたり、色々な部品を使ってオリジナルステージを作って友だちや弟にやらせてみたり、ステージも驚きの100面という大容量。楽しかったなぁ。第一志望を手に入れられなかった僕だったが、偶然我が家にやって来ることになった「レッキングクルー」を「スーパーマリオブラザーズ」だと思って、存分に楽しんだのだ。

 

なお、こんなエピソードは意外と全国区で起こっていたらしく、大学に行った時に色々な地方から来た同級生に聞いてみると、僕と同じ被害を受けた貴重な経験をした当時の少年は多かったようだ。これを読んでくれているキミはどうかな?

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