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タイトル | アイスクライマー |
ハードウェア | ファミリーコンピュータ |
メーカー | 任天堂 |
価格 | 4,500円 |
発売日 | 1985年1月30日 |
ジャンル | アクション |
100万本売れた同時対戦プレイゲーム
ファミコンにはコントローラーが2つ付いている。いわゆる「ワンコン」と「ツーコン」である。兄弟(姉妹)がいたキミならわかると思うが、ツーコンは弟や妹が操作することが多い。僕は兄という立場を利用して、ゲームのストップをかける「スタートボタン」を制御できるワンコンを操作することが多かったので、我が家でも弟がツーコンを操作していた。
技術的な問題なのか容量の問題なのかは、当時小学生だった僕らには知るよしもなかったが、ファミコン黎明期は、2人同時プレイができるゲームは少なかったように思う。そんな中、この「アイスクライマー」は白熱した対戦プレイが楽しめるゲームとして人気のあるソフトだった。調べてみると、100万本が売れたそうだ。(出典:Wikipedia)まさに名作である。
ゲームタイトルが示す通り、プレイヤーはプレイヤーキャラクターを操作して山の頂上を目指す。1プレイヤー側は青い服の男の子・ポポ、2プレイヤー側は赤い服の女の子・ナナという名前である(画面上での違いは服の色のみ)。山は階層状になっており、ほとんどの場合その階層の間はブロックで隔てられている。このブロックを木槌で砕きながら上へと進み、山頂を目指す。このゲームは2人同時プレイが可能で、協力し合いながら山を登ることも、相手の邪魔をして争うといった異なる遊び方もできるため、ゲームとしての魅力が増している。山は全部で32種類あり、33面以降は2周目となる。永久ループのためエンディングはない。(出典:Wikipedia)
「うん、今度返すね」と気のない返事
人気のあるソフトだったので、当時の僕らのコミュニケーションのひとつでもあった「ゲームの貸し借り」においても、この「アイスクライマー」は頻繁に友だちの間を行き来していた。そんなある日、同じクラスのS君から「アイスクライマー」を貸して欲しいとの要望を受けた。
僕らの貸し借りでは、特に「いつまでに返して」などといったシビアなルールを設けていなかった。他の友だちにそうするように、僕はS君に「アイスクライマー」を貸してあげた。
それからどのくらい経っただろう。1ヶ月は経っていなかったと記憶しているが、そろそろ返して欲しいと思った僕は休み時間中に、それとなくそのことを伝えてみた。するとS君が僕と目も合わさずに「うん、今度返すね」と気のない返事をした。
それからクラス替えがあったので、違うクラスになって次第に疎遠になったこともあって、比較的同じ団地内でも近くに住んでいるS君とは顔を合わす機会が無くなった。
自転車のカゴに水色のカセットを発見!
S君に「アイスクライマー」を貸し出してからどのくらい経っただろう。別の友だちからこんなことを聞いた。「Sからアイスクライマーを借りた」という事実を。
何しろ人気ソフトである。S君も「アイスクライマー」を買ったんだろうなと思いつつも、どうも釈然としない。その疑惑は確信へと変わり、僕の中で「僕のアイスクライマーに違いない」という思いが渦巻いていくのであった。
長い間顔を合わせていなかったのだが、僕の住んでいる棟の近くにある「S池公園」の曲がり角で、S君とばったり出会ったのだ。僕はこの機会を逃すものかと問い詰めようとした刹那、5~6段変速の自転車のカゴに水色のカセットが剥き出しのまま入っているのを見てしまった。
「おい!ちょっと待・・・」
そう言い終わるか言い終わらないかの間、S君は猛然とハンドルを切って逆方向に向けて逃げ出した。まさにBダッシュである!追いつかれまいと必死に立ち漕ぎで逃げていくS君の背中を呆然と見つめながら、僕は立ち尽くすしかできなかった。
僕はS君に「アイスクライマー」を借りパクされた、いや、正確には既に「借りパクされていた」のだ。あれからどのくらいの年月が経っただろうか。S君、もしこのブログを見ていたら僕の「アイスクライマー」返してください。お願いします、この通りです!
この事件以来、我が家にあったファミコンのカセットには名前が書き込まれることになった。マジック?サインペン?いやいや、そんな中途半端なやり方じゃない。父親の手によって、半田ごてでジュワワッと焼き付けるように名前を刻印してもらったんだよ。